セラミド研究会JSC Japanese Society for Ceramides

学術コンテンツAcademic contents

記事

2025年度 Young Investigator Award 受賞(企業枠)

2025.11.12

秋山 史成(大正製薬株式会社)

受賞演題名
結合型セラミド・遊離型セラミドプロファイルと肌の外観・乾燥状態との相関解析

この度は、セラミド研究会2025年度Young Investigator Awardという栄誉を賜り、大変光栄に存じます。本研究は、肌の見た目に着目した皮膚科学研究の一環として、健常肌におけるセラミドクラス(図1)の違いが肌の乾燥や外観、角層状態とどのように関係しているのかを明らかにすることを目的に行ったものです。

図1

 

セラミドは皮膚のバリア機能を支える主要な脂質であり、その変化は皮膚疾患で多く報告されています。一方で、健常肌におけるセラミド組成の詳細、特に「結合型」と「遊離型」という違いや、長鎖塩基や脂肪酸鎖長などの分子レベルの特徴が、肌の乾燥状態や外観にどのように関わるのかについては、十分に明らかにされていませんでした。そこで私たちは、北海道大学の木原章雄教授との共同研究により、液体クロマトグラフィー連結タンデム質量分析法(LC-MS/MS)を用いて、健常日本人女性の角層に含まれる遊離型・結合型セラミドを分子種レベルで解析しました。
角層水分量によって乾燥群と非乾燥群に分類した31~49歳の健常女性26名を対象に、頬部の乾燥・外観に関わる各種肌測定と、角層を採取による角層状態解析、セラミド分析を行い、肌状態とセラミド組成との関連性を解析しました。解析の結果、乾燥群では遊離型セラミドNP、EOS、EOH、結合型セラミドPB-Hといったクラスの割合が有意に低く、逆に遊離型セラミドNS、AS、結合型セラミドPB-SDの割合が有意に高いことが明らかになりました。また、乾燥群ではNSやNHにおける脂肪酸鎖長の短縮化が確認されました。さらに、肌表面の粗さ等の肌外観状態が良好なほどNPやPB-Hが多く、悪いほどNSやPB-SDが多いという傾向が見出されました(図2)。

図2

遊離型セラミドの傾向はアトピー性皮膚炎患者の特徴に類似しており、また今回、結合型セラミドについて、健常肌の乾燥や外観状態の良し悪しにより組成の差異が生じることが明らかとなりました。本研究の成果は、肌の乾燥や加齢に伴う見た目の変化への新たなアプローチや、スキンケア製品への応用につながると考えています。

本研究発表にあたり共同研究にて終始多大なるご指導を賜りました北海道大学の木原章雄先生や大野祐介先生、セラミド測定を行った高橋夏海さん、ならびに本研究を支えて下さった関係者の方々に心より感謝申し上げます。今後も人々の健康と美につながる研究を通じて、セラミド研究会の発展に貢献してまいります。

補足

なお,本発表の内容は, International Journal of Molecular Sciences に掲載されました。
Akiyama F, Takahashi N, Ueda Y, Tada S, Takeuchi N, Ohno Y, Kihara A. (2024) Correlations between skin condition parameters and ceramide profiles in the stratum corneum of healthy individuals. Int J Mol Sci, 25, 8291.

付記

本コンテンツの著作権所有者は著者に帰属し,日本セラミド研究会(札幌,日本)は本コンテンツを当会Webサイトへ掲載できる非独占的通常実施権者になっています.本コンテンツは,クリエイティブ・コモンズ の定めたCC BY 4.0ライセンスの条件で掲載しており,著者と著作権所有者が明記され,かつ,日本セラミド研究会からの出版物である旨が引用されていることを条件として,他の会での使用,配布,または複製は許可されています.これらの条件に準拠していない使用,配布,または複製は許可されていません.

CC BY 4.0ライセンスの内容については以下URLを参照してください.

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

他の記事

カテゴリー

年別アーカイブ

お問い合わせ
セラミド研究会へのご入会についてなど、
お気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせはこちら